しゃべりすぎたオンナ

そういえば。
わたしは彼とつきあっている頃、自分の話ばかりしてしまっていた。
私は話し手で、彼は聞き手。

だって彼といると妙に居心地が悪かったのだ。
わたしは生粋の大阪人で、彼は東京の人。
話のノリがまったく噛み合わない。


彼は私以外の女性とは案外気さくにスムーズに話してて、けっこう人気者ですらあった。
わたしも、さほど男性が苦手ではないはず。
けれど、彼とはどうにも噛み合わない。

でも彼が好きだから、なんとか繋げたくってわたしは一所懸命やみくもに喋った。
その中で、実家とか家族の話もした記憶がある。
例えば母親や父親が存外、婚前交渉に厳しかったこと。

年頃になった私は、あるとき思い切って女性のはだか写真満載の雑誌を購入し、ベッドの下に隠した。
すると、翌朝には忽然とその雑誌は消えていた。
おそるおそる朝食の食卓に顔を出すと、母はまったくの普段通り。

炊き立てのご飯と作り立ての御味噌汁から、白い湯気が立ち昇っていた。
大阪のおばちゃん的に、こら~っ!て、怒ってくれた方がよかった。
すんごいトラウマになった、とかそういった類の話だった。

あれかな?。
二夫にまみえず的な貞操概念が刷り込まれた気もしないでもない、とか話した記憶がある。
でも、薬指にちょっと指輪をはめたくらいで、契りってか、まみえたことにはあたらない。

ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
宅急便だった。
覚えがない差出人。
割合に重いけど、なんだろう?。

開けてびっくり、驚いた。
中に入っていたのは白い喪服。
白い喪服、つまり未亡人がお葬式でこの先再婚しませんという決意を表す喪服の一種だ。
わたしは喋りすぎた。

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