元はとれた

相性はどうなんだろう。
カレシなら、そこまでこだわらない。
楽しけりゃ、それでいいし。

でも、結婚相手となると、そうはいかない。
慎重のうえにも慎重になりすぎることはない。
よくよく吟味せねば。

今日はわたしの最愛の遊園地に遊びに行ったのだ。
そこで、ちょっと「価値観」の違いがひっかかった。
なんと、あくびをしたのだ!しかもパレードの最中。

信じられない。
しかも、帰りの車の中でつぶやいたことばも気になった。
「にしても高いよなあ。
何にも残らないのにさ」。

耳を疑った。
何も残らない?何も?想い出は残るでしょ?ふたりの大切なメモリーが!結婚したり子供ができたりしたら、こんなゆっくり遊園地を楽しむなんて無理なのよ!それに泊まると費用がかかり過ぎるって、そっちが言い張るから、譲歩して日帰りにしたのに。

それを友達に言うと「日帰りなんて、信じられない。
せっかくなのにもったいないよね。
せめて一泊はしたいよね」。
その通り、その通りなんだよね。

日にちも割いて、お金も割くからこそ、めいっぱい楽しみたい。
その方が一日パスだって、有効活用できるのに。
そんなわたしの気持ちを踏みにじるように、わたしの“カレシ”は続けた。

「もうけてんだろうなあ、あの遊園地。
バイトの数だってすごいよなあ。
あの箒さばき、すごいよなあ。

単調じゃないのかねえ。
結局一日中掃除だろ?問題解決能力とか、全然育めないじゃん。
俺には到底無理だな」。

冗談ないわ。
あそこのバイトの倍率、知ってんの?
わたしだって、学生時代に応募して、書類審査の段階で落とされたのに。
ハンパない協調性とホスピタリティーが育める類まれなバイトだって知らないわけ?

「まあ、君が楽しかったんだったら、それで元はとれたよな」。
わたしは、またも耳を疑った。
“元はとれた”ですって??相性絶望的。

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